被相続人の配偶者とその子どもには、遺留分(いりゅうぶん)が認められます。
遺留分とは、被相続人の遺言内容にかかわらず、配偶者、子ども、両親などの法定相続人が遺産の一部を取得することができるように、法律で定められた権利の割合をいいます。ただし、兄弟姉妹には遺留分がないことに注意が必要です。
被相続人が、すべての遺産を相続人以外の者に贈与するという内容の遺言をしていた場合など、遺留分権利者は、遺贈や生前贈与を受けた人に対し、遺留分の範囲内で財産の返還を求めることができます。
遺言書の指定相続割合が優先されます。しかし、民法では一定の相続人が最低限相続できる財産を、「遺留分」として保証しているため、遺言書で遺留分より下回る額しか相続できない場合には、相続人は遺留分を請求できます。
新たに遺言を作成すれば、過去の遺言は、新たな遺言に抵触する限度において、撤回したものとみなされます。
したがって、あえて、過去の遺言の取消手続、変更手続をとる必要はありません。
ただ、新たに作成する遺言において、「○年○月○日付の遺言を撤回する」「○年○月○日付の遺言の第○項は、下記のとおり撤回した上で、変更する。」などと記載することをお勧めします。
自筆証書遺言を変更するときは,変更箇所を特定のうえ,変更したことを付記して署名し,かつ変更箇所に押印をしなければなりません(民法968条2項)。他方,遺言者が遺言書を故意に破棄した場合は,破棄された部分の遺言は撤回されたものとみなされます(民法1024条前段)。
この点について、裁判所は,赤ペンで文面全体に斜線を引く行為の一般的な意味に照らして,これは遺言者が遺言全体を不要とし,そこに記載された内容全ての効力を失わせる意思の表れとみるのが相当として,このような行為は遺言者が故意に遺言を破棄したといえ,遺言は撤回されたとみなされると判断しました(最高裁判所平成27年11月20日付判決)。