相続の開始・遺産の範囲Q&A


Q 相続はいつ開始しますか。

相続は被相続人の死亡によって自動的に開始します。したがって、被相続人が死亡したが遺産分割協議を行っていな射場愛であっても、相続自体は開始していることになります。

なお、相続とは,相続される人(被相続人)の財産が,被相続人の死亡を原因として,被相続人の家族や親族(相続人)に、包括的に受け継がれることをいいます。


Q 父が亡くなりました。父には、預金、不動産などの資産のほか、負債があり、他人の借金の保証人にもなっています。私は、このような負債や保証債務も相続するのでしょうか。

相続は、プラスの財産のみならず、マイナスの財産(負債)も相続します。したがって、負債や保証債務についても相続することになります。

 但し、身元保証については、個人的信頼関係を基礎とすることや責任が広範なものになる可能性があることから、一身に専属すべきものとして、相続性は否定されています。その他、養育費の支払義務なども相続人の一身に専属するものとして相続性は否定されます。

 なお、負債は、相続の対象にはなりますが、遺産分割の対象にはなりません。したがって、共同相続人間で誰か1人が全ての負債を支払うと合意をしても他の相続人が債権者からの請求を受ければ自己の法定相続分に応じた支払を行う必要があります。


Q 生命保険の死亡保険金は、相続財産に含まれますか?

生命保険の死亡保険金は、保険契約に基づく受取人固有の権利ですので、相続財産には含まれません。

しかし、保険金受取人である相続人と他の共同相続人との不公平があまりにも大きいと考えられるような場合には、例外的に「特別受益」と同様に取り扱われ、相続財産に持ち戻して相続分を算定する場合があります(最高裁平成16年10月29日)。


Q 死亡退職金は、遺産に含まれるのでしょうか?

⑴ 私企業等の従業員の死亡退職金について

 具体的な事案に応じて個別に判断する必要があります。具体的には、支給規定がある場合には、支給基準受給権者の範囲又は順位などの規定により、支給規定がない場合には、従来の支給慣行や支給の経緯等を考慮して、個別に、遺産性の有無を判断することになります。

 最高裁昭和60年1月31日判決は、私立の学校法人の職員の死亡退職金について、死亡退職金の支給を受ける遺族は、職員の死亡当時、主としてその収入により生計を維持していた者でなければならないこと、第一順位は配偶者であること(内縁関係を含む)、配偶者があるとき、子は全く支給を受けないことなど、民法の規定する相続人の範囲及び順位決定の原則とは著しく異なった定め方をしていることから、遺族の生活保障を目的とし、遺族固有の権利であるとして、遺産性を否定しています。

 この判例の事案のように、民法の規定と著しく異なった定め方をしている退職金規定の場合には、遺産性が否定される傾向にあります。

⑵ 公務員の死亡退職金について

 受給者固有の権利であり、遺産にはなりません。すなわち、遺産分割の対象にはならないことを意味します。 

 具体的には、国家公務員退職手当法は、受給権者の範囲及び順位は民法の定める相続人の範囲及び順位と異なっています。これは遺族の生活保障を目的としていると解され、遺産性はないと考えられています。

  また、地方公務員に対する死亡退職手当についても、国家公務員退職手当法と同様の内容を定めているときには遺産性が否定されます(最高裁昭和58年10月14日判決)。

⑶ 私企業の役員の死亡退職金について

 具体的な事案に応じて個別に遺産に該当する稼働を判断することになります。例えば、広島高裁平成12年2月16日判決は、「死亡した会社役員に対する退職慰労金が同人の相続財産に含まれるか否かは、その支給を決定した総会決議が、同人の相続財産とする趣旨で同人の相続人を支払対象者としてなされたか否かによって決せられるところ、本件決議は、本件退職慰労金の受給者が同人の内縁の妻及び法律上の妻のいずれかであることを当然の前提としているから、同人の相続財産ということはできない。」旨判示しています。


Q 借家権や借地権は、遺産に含まれるのでしょうか?

(提供先)

〒880-0001宮崎県宮崎市橘通西1-2-25橘パークビル5階

電話番号0985-27-2220

宮崎はまゆう法律事務所・社労士法人はまゆう宮崎はまゆう社労士事務所

弁護士・社会保険労務士 梶永 圭(宮崎県弁護士会・宮崎県社会保険労務士会)