遺産の分割の話合いがまとまらない時は、家庭裁判所に遺産分割調停や遺産分割審判の申立てをする方法があります。
遺産分割調停は、家庭裁判所で、調停委員を交えて遺産分割の話合いをする手続です。
遺産分割審判は、相続人間のさまざまな事情を考慮した上で、家庭裁判所が分割方法を決める手続きです。
なお、遺産分割審判の申立てをしても、家庭裁判所はまず調停による解決を図るのが一般的です。
⑴ 共同相続人の間で話し合い、合意が得られ、その後も紛争の可能性がない場合や相続手続きが存在しない場合には、遺産分割協議書は作成する必要はありません。
⑵ もっとも、各相続人の持ち分を明確にし、後のトラブルを防止するためには、協議書を作成することが望ましいと考えます。
⑶ また、不動産や車両等の、登録変更手続きの際には、遺産分割協議書が必要となります。
⑷ 相続税は、法定相続分をもとに計算されるので申告できます。すなわち、遺産分割協議が整わないまま、相続税申告をすることも可能です。その場合には、未分割となるため(※)、小規模宅地等の特例や、配偶者の税額軽減といった特例を適用できなくなる点は注意が必要です。
※3年以内に分割された場合や、3年を超えても未分割であることについて、やむを得ない事情がある場合には、相続税の申告時に「分割見込書」や「承認申請書」を提出すれば、後日更生可能です。
⑴ 遺産分割協議書を作成する際の最初にすべきことは、相続人の確定です。すなわち、被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を、市町村郡の役所から取り寄せ相続人を確定しなければなりません。
⑵ 次に相続財産を確定します。不動産は登記簿謄本、銀行などの預貯金は通帳や残高証明書、必要に応じて法務局や銀行へ書類を請求し相続財産を確定しなければなりません。
⑶ 遺産分割協議は、相続人全員が参加しなければ無効になります。また、納得できない相続人が1人でもいれば、遺産分割が実行できません。
遺産分割協議は相続人全員で行うことが必要ですので、一部の相続人を除外してなされた遺産分割協議は無効となります。
⑴ 分割協議後に知らなかった遺産が出てきた場合であっても、既に為された遺産分割協議は原則として有効です。したがって、既に為された遺産分割協議の中で、新たに発見された遺産の取扱いを定めている場合はその定めに従い、定めていない場合には、新たに発見された遺産を対象として追加の分割協議を行うことが可能です。
⑵ もっとも、例外的に既に為された遺産分割協議の無効を主張することができる場合もあります。
⑴ 相続人間で合意ができた場合
不動産の評価には、①固定資産税評価証明書の金額、②路線価の金額、③相続税評価、④時価などがあります。
また、不動産を売却する時期によっても不動産の評価額が変わってきてしまいます。
ただ、相続人間で合意をすれば、それを基準としても問題はありません。
⑵ 相続人間で合意ができない場合
不遺産分割調停手続きや遺産分割審判手続きでは、不動産鑑定士による鑑定をすることになります。当該鑑定は、通常、時価評価となります。
ただ、場面により、評価の基準時が異なります。
具体的には、①遺産分割の場合には、遺産分割時の時価(直近の時価)、②遺留分侵害額請求の場合には相続開始時の時価(故人が亡くなった時点の時価)、③特別受益の場合 には相続開始時の時価(故人が亡くなった時点の時価)とされるのが通常です。